●好きなものは最後まで。
(同棲設定) written by
月成美柑
※はちみつの甘さに油断。の続編です。
「うまかった、ごちそうさま」 十代は食べ終わったクレープの皿の上にナイフとフォークを置いた。 「お茶、お代わりいるか?」 「うん!」 十代はカップを差し出しながら、言葉を続ける。 「このクレープってさあ、店に売ってるクレープと味、ちょっと違う気がするけど。例のソバのはちみつのせいかな」 ヨハンはくすっと笑った。 「十代は、食べ物に関しては鋭いな」 「食べ物に関しては余計だ。で、何か作り方違うのか?」 「はちみつだけじゃなくて、粉もソバ粉を使ってる。100%じゃないけど」 「へええ、ソバって麺だけじゃないんだ」 「フランスあたりじゃ一般的だぜ、ソバ粉のクレープ。ソバは痩せた土地でも収穫できて栄養価も高い、その上味もいいからな」
「ふうん」 「十代、食べ終わったんなら皿下げるぜ」 「あ、待って」 皿を持ち上げたヨハンの手首を十代が掴んだ。 「もったいない」 言うが早いか十代は皿に残ったはちみつをぺろりと舐めた。 「十代!」 ヨハンは皿を置くと、十代の両肩を掴み、唇を重ねた。クレープとはちみつの甘い味がする。 「よはん・・」 「ここにも残ってるだろ、勿体ない。好きなものは最後まで食べ尽くさないとな」 「ヨハンのばか」 「でも、俺の一番好きなものは十代だけどな」 言いながら、ヨハンはもう一度十代に口づけた。
好きなものは、最後まで・・・
END
back
|