inserted by FC2 system



●はちみつの甘さに油断。

(同棲設定)
written by 月成美柑





ヨハンが買い物から帰ってきた。
「うー、ハラ減った。何か食わせてくれ」
十代が情けない声を上げる。
「うーん、じゃあクレープとかは?」
キッチンで買ってきたものを整理しながら、ヨハンが応えた。
「あ、うまそう!早く作ってくれ」
待ちきれないのか十代がキッチンまでやってきた。
どうやら欧州系のスーパーに行ってきたらしく、十代に読めない言葉の瓶詰めがたくさん並んでいる。
「これ、何だ?」
琥珀色のとろりとした液体の入った瓶を十代は手に取った。

「ああ、それ、はちみつ」
「ええ?!はちみつってもっと色薄くないか?」
「それはソバの花でつくったはちみつ。独特の風味があって、クレープには合うんだ」
「ソバって花咲くのか」
「種子植物であるかぎり、咲くに決まってるだろう!小学校からやり直してこい!」
十代は拗ねたような上目使いでヨハンを見た。この目つきにヨハンは弱い。
何でも許したくなってしまう。わかってやっているのかそうでないのか、たぶん無意識なんだろう。
「ごめんごめん、機嫌直せよ。味見してみるか?」
「うん!!」
一瞬で、機嫌を直してにっこりする十代に、
(結局俺はこいつに勝てないんだよなあ)
とヨハンは思ってしまう。

引き出しから、ハニーサーバーを出し、琥珀色の蜜に浸して、十代の口の中に流し込んでやる。
「ん、うまい・・」
口をきいた拍子に十代の口元から、とろりと蜜がこぼれた。
と、次の瞬間、十代の体は引き寄せられ、ヨハンの舌がこぼれた蜜を舐めとった。
そしてそのまま、舌を十代の口の中に侵入させる。
「んんん・・」
十代は何とかヨハンを引き剥がした。

「何すんだ。変な拭き方すんな!」
ふふ、っとヨハンは笑った。いやな予感、と十代は思う。ヨハンがこういう目つきをするときはロクなことを考えてない。
「すげえ、うまかったぜ。もっとくれ」
「自分で味見すりゃいいじゃん」
「じゃ、遠慮なく」
さらに嫌な予感に十代は後ずさった。

ヨハンは再び、サーバーをはちみつに浸す。そして・・・
十代のシャツのボタンを外すと、首筋にはちみつを落とした。
「な・・」
抵抗する間もなく、ヨハンの舌が十代の首筋を這い回る。
「や、あ・・」
何とかヨハンを押しのけようとするが、本気のヨハンに十代が力で敵うわけがない。
次第に抵抗は弱まり、十代の息が荒くなっていく。
「クレープ作るんじゃなかったのか」
十代は潤んだ目で恨めしそうにヨハンを見上げた。
「ああ」
「だったらこんなことしてないで早く」
「クレープは俺が十代を十分味わってからな」
「ヨハン!!」

はちみつの甘さに油断・・・は禁物。
それは、危険な甘さ。
Risky honey・・・・





END






back