● 何が怖い?
「そういえば温室あったな。」 ヨハンは行った事なかったが、十代が温室について語ってくれた事があった。
「十代。」 「……よはん…?」 聞こえてきた十代の声は掠れていた。寝起きの声だ。 「十代。こんな事したら怒られるぜ。」 「平気。この子達は間引かれた子だから。」 「間引き?」 「そう。他を生かすために摘まれるの。」 十代はそう言うと、愛しそうに花びらを撫でる。 「綺麗だな。」 「そう。綺麗。私は赤が一番好き。でも、青も悪くない。青には見えないのに青だと言い張るところが、愚かで愛おしく感じる。」 「そっか。」 「ねえヨハン。」 「ん?」 「…しよ?」 「ここで?」 「ここがいいの。」 十代はヨハンを座らせると、そっと口付けをしてきた。 「本当にここでするのか?」 「うん。すごく綺麗だし。…二人きりだし。」 十代はヨハンの服に手を掛けて、口付けを落としながらゆっくりと脱がせてくる。 「俺にも触らせて。」 対するヨハンのお気に入りは、十代の首筋だ。 「ねえ。ヨハン。」 「…俺もだよ。十代。」 「上でいい?」 「ああ。来いよ。」 互いの服を脱がせると、十代はヨハンの猛りを包み込みながら膝の上に乗って来た。 「ん……。」 「すごく気持ち良さそう。」 「気持ち…いいから。ヨハンも、気持ち良くしてあげる。」 十代は有言実行するタイプだ。 「…ぅあっ…。」 気持ちが良すぎて意識が持っていかれそうだ。 「十代?突き上げて欲しいのか?」 「そんなことされたら、おかしくなっちゃう。そうじゃなくて…。」 十代は言う事すら嫌そうだった。 「十代?」 ヨハンが促せば、十代はものすごく不満そうに口を開いた。 「ヨハン全然集中してない。よくないの?」 十代の不満は可愛いらしいものだった。 「ええと…とりあえず、よくないっていうのはありえないけど…。」 「じゃあ何?」 「ここって外からは見えづらいけど、丸きり見えない訳じゃないだろ?それにそろそろ見回りの時間だし。」 誰かに見られるかもしれないと思うと、気が気じゃなかった。 「見つかって怒られるのが恐いの?」 「十代を見られたくないんだよ。十代の生まれたままの姿を見ていいのは、俺だけだろ?」 ヨハンの言葉を聞いて、きょとんとしていた十代だが、次第に顔が赤くなっていく。 「十代。ごめん。一回出していいか?」 「限界?」 「うん。」 素直に頷けば、十代は顔に赤見を残したまま、ゆるゆると腰を動かし始める。 「ヨハン…もう一回…。」 「家に帰ってからにしないか?」 「いや。我慢できない。」 「でもさ。」 「じゃあこれならいいでしょ?」 十代は繋がったまま上体を倒し、ヨハンを引き寄せてきた。 「ね?」 「まぁ、これならバラより低くなって見えないだろうけど…。」 「あとは、ヨハンが身体で隠して。」 十代の腕がヨハンの首に回され、更に密着する。 「俺の身体好き?」 「好き。」 「俺も。十代の身体が好きだよ。」 「うん。」 好きなのは、身体だけじゃない。
十代の好みどおりに、ヨハンは腰を使った。 「あっ…ゃあっ。」 「十代。しがみつくなら俺にして。」 十代はバラを掴んでいた。 「イタっ。」 「十代?」 「バラが…。」 十代はバラから手を離すと、ヨハンに見せてきた。 「バラの癖に生意気だ。」 ヨハンは十代の指を口に含むと、丹念に舌を這わせた。 「ヨハン?顔が怖い。」 「だってバラが。」 「バラが?」 「十代に触れていいのは、俺だけだ。」 くわえていた指から口を離すと、ヨハンは十代の唇に口付けをした。 「んぁ…。すご…い…。もっとぉ。」 「俺が欲しい?」 「ほし…。だから、早く……ちょうだいっ。」 十代はいつも以上に興奮しているようだった。
「うん。」 答える十代の声は掠れていた。 「帰ったらお風呂ね。」 「ああ。隅々まで洗ってやるよ。」 「お風呂でする元気は無いからね。」 「分かってるよ。ベッドまで我慢する。」 散々愛してあったが、まだ足りない。
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