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● 何が怖い?


(禁断の恋・続き 123
written by 緑豆



ヨハンは校内を歩き回っていた。
目的は当然十代を見つける事だ。
本日最後の授業だった体育が終わってから、十代は教室に戻って来なかった。
着替えた十代が、教室とは反対に向かったとの話を女子から聞いたが、それだけでは場所を特定出来ない。
なんせこの学校は広い。
教室は鬼のように多いし、中庭はちょっとした庭園だ。

「そういえば温室あったな。」

ヨハンは行った事なかったが、十代が温室について語ってくれた事があった。
もしかしたらそこに居るかもしれない。
夕日になってしまった太陽を見ながら、ヨハンは中庭へと向かった。

 


中庭の人目が付かない一角に温室はあった。
光の加減で中の様子は見えないが、中からは間違いなく愛しい人の気配がする。
ぐるっと回って入口を見つけると、ヨハンはそっと中に入った。
中に入れば、甘い香りと高めの温度が迎えてくれる。
ヨハンにはちょっと甘ったるく感じるくらいだ。
美しく整えられているそこは、薔薇でいっぱいだった。
様々な色の薔薇が咲き誇っている。

「十代。」

「……よはん…?」

聞こえてきた十代の声は掠れていた。寝起きの声だ。
十代は薔薇に囲まれて眠っていた。
ゆっくりと身体を起こす十代だったが、薔薇の花びらが髪についている。
花びらは髪についたものだけではなく、床が見えないくらい散らばっていた。

「十代。こんな事したら怒られるぜ。」

「平気。この子達は間引かれた子だから。」

「間引き?」

「そう。他を生かすために摘まれるの。」

十代はそう言うと、愛しそうに花びらを撫でる。

「綺麗だな。」

「そう。綺麗。私は赤が一番好き。でも、青も悪くない。青には見えないのに青だと言い張るところが、愚かで愛おしく感じる。」

「そっか。」

「ねえヨハン。」

「ん?」

「…しよ?」

「ここで?」

「ここがいいの。」

十代はヨハンを座らせると、そっと口付けをしてきた。
触れるだけの口付けは、次第に深くなり、離れていた身体もぴったりとくっつく。

「本当にここでするのか?」

「うん。すごく綺麗だし。…二人きりだし。」

十代はヨハンの服に手を掛けて、口付けを落としながらゆっくりと脱がせてくる。
十代の最近のお気に入りはヨハンの胸筋だ。
指でなぞってはうっとりとしているし、顔を埋めては満足している。
セックスになると、ここぞとばかりに楽しんでいた。

「俺にも触らせて。」

対するヨハンのお気に入りは、十代の首筋だ。
正確には、耳元から首元が気に入っている。
好きにさせてやりながら指でくすぐってやれば、十代は甘い声を漏らす。

「ねえ。ヨハン。」

「…俺もだよ。十代。」

「上でいい?」

「ああ。来いよ。」

互いの服を脱がせると、十代はヨハンの猛りを包み込みながら膝の上に乗って来た。

「ん……。」

「すごく気持ち良さそう。」

「気持ち…いいから。ヨハンも、気持ち良くしてあげる。」

十代は有言実行するタイプだ。
テクニックに愛が加わった今、十代からの行為は極上の快楽へと繋がる。
あっという間に限界まで成長した息子は、十代の思うがままに愛撫されていく。

「…ぅあっ…。」

気持ちが良すぎて意識が持っていかれそうだ。
十代も頬を上気させて、気持ち良さそうにしている。
だが、何か不満があるのか、十代は眉間に皺を寄せた。

「十代?突き上げて欲しいのか?」

「そんなことされたら、おかしくなっちゃう。そうじゃなくて…。」

十代は言う事すら嫌そうだった。
一体何が嫌だったのだろう。
そう思うが、何も思い当たらない。

「十代?」

ヨハンが促せば、十代はものすごく不満そうに口を開いた。

「ヨハン全然集中してない。よくないの?」

十代の不満は可愛いらしいものだった。
しかし、ヨハンは答えに窮してしまう。

「ええと…とりあえず、よくないっていうのはありえないけど…。」

「じゃあ何?」

「ここって外からは見えづらいけど、丸きり見えない訳じゃないだろ?それにそろそろ見回りの時間だし。」

誰かに見られるかもしれないと思うと、気が気じゃなかった。

「見つかって怒られるのが恐いの?」

「十代を見られたくないんだよ。十代の生まれたままの姿を見ていいのは、俺だけだろ?」

ヨハンの言葉を聞いて、きょとんとしていた十代だが、次第に顔が赤くなっていく。
それに伴い中の締め付けも強くなり、ヨハンは呻いた。
あっさりと果ててしまいそうだ。

「十代。ごめん。一回出していいか?」

「限界?」

「うん。」

素直に頷けば、十代は顔に赤見を残したまま、ゆるゆると腰を動かし始める。
許可が下りた事にほっとしながら、ヨハンも達する為に動き始めた。
どうせなら、十代にもイって欲しい。突き上げに合わせて可愛いらしく鳴いているから、それも可能だろう。
いい所を重点的に責めれば、十代はどんどん乱れていく。
十代をきつく抱きしめて達すれば、十代も身を震わせ達したようだった。

「ヨハン…もう一回…。」

「家に帰ってからにしないか?」

「いや。我慢できない。」

「でもさ。」

「じゃあこれならいいでしょ?」

十代は繋がったまま上体を倒し、ヨハンを引き寄せてきた。
先程の体勢とは逆に、今度はヨハンが十代を見下ろす形になる。

「ね?」

「まぁ、これならバラより低くなって見えないだろうけど…。」

「あとは、ヨハンが身体で隠して。」

十代の腕がヨハンの首に回され、更に密着する。
ヨハンが十代を抱き寄せれば、十代はヨハンの胸に手を這わせ始めた。

「俺の身体好き?」

「好き。」

「俺も。十代の身体が好きだよ。」

「うん。」

好きなのは、身体だけじゃない。
でも、そんなことは言わなくても分かっているから、言う必要はなかった。

 

十代の好みどおりに、ヨハンは腰を使った。
ちょっと乱暴に動かれるのを、十代は好む。
攻める方が好きなように見えて、実は激しく求められるのが好きなのだ。
だが、ヨハンが本気で無茶苦をしたら十代は壊れてしまう。求めながらも、ヨハンは丁寧に十代を抱いた。

「あっ…ゃあっ。」

「十代。しがみつくなら俺にして。」

十代はバラを掴んでいた。
植物相手に嫉妬なんて心が狭いと思うが、嫌なものは嫌だった。

「イタっ。」

「十代?」

「バラが…。」

十代はバラから手を離すと、ヨハンに見せてきた。
それに目をやれば、バラの花よりも赤いものが指に付いている。
十代の手があったところを見ると、同じ赤がバラの刺に付着していた。

「バラの癖に生意気だ。」

ヨハンは十代の指を口に含むと、丹念に舌を這わせた。
十代の身体に傷がつくなんて、気分が悪い。バラが憎くなってくる。
そうなると、十代に触れている花びら達も憎くなってきた。

「ヨハン?顔が怖い。」

「だってバラが。」

「バラが?」

「十代に触れていいのは、俺だけだ。」

くわえていた指から口を離すと、ヨハンは十代の唇に口付けをした。
現在の心境そのままの荒々しい口付けだったが、十代は嬉しそうに応えてくる。
込み上がってくる愛しさのままに、ヨハンは行為を再開した。

「んぁ…。すご…い…。もっとぉ。」

「俺が欲しい?」

「ほし…。だから、早く……ちょうだいっ。」

十代はいつも以上に興奮しているようだった。
ヨハンも抑えが効かない。
十代の秘部に何度も突き立て、嬌声が悲鳴に近くなっても構わず腰を打ち付ける。
十代の柔肉を、ヨハンは獣のように貪っていった。

 


「十代。大丈夫か?」

「うん。」

答える十代の声は掠れていた。
それもその筈だ。
結局、十代とヨハンは、迎えの者が探しに来るまで交わり続けていたのだ。
行為の最中に踏み込むなんて、不粋な事をする者は十代の家にいないが、流石に長すぎると思ったのか、実にさりげなく止められた。
もし止められなかったら、今でもまだ交わり続けていただろう。
だが、それでも十代の喉は嗄れてしまったし、腰は立たなくなってしまっていた。
今日はヨハンに抱かれと移動するしかない。
十代はそのことに満足なのか、ヨハンの腕の中で実に満ち足りた様子でくつろいでいる。

「帰ったらお風呂ね。」

「ああ。隅々まで洗ってやるよ。」

「お風呂でする元気は無いからね。」

「分かってるよ。ベッドまで我慢する。」

散々愛してあったが、まだ足りない。
十代の耳に喰らいつきながら、ヨハンは十代を抱きしめた。

 




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