●君にだけ教えること
written by
saina
「ヨハン?」 声に振り返り、今にも眠れそうな暗い景色に十代は立っていた。 「じゅうだい?どうしたんだ?」 「寝ないのか?ヨハンは」 「うーん」とメガネを外し、ヨハンは応える。 「もうちょっとな。今はペガサス会長に頼まれた訳文を終わらせたいんだ、十代は先に寝てくれ」 「じゃあオレはここで待ってる」 「いや。もう遅いだろ?十代が先に寝ろって」 「…いいのか?」 「?何が」 「オレを独りにして冷たいベッドに寝かせる訳?」 「……素直に淋しいと言えばいいのに」 「…っ悪いかよ」 「いーや」 クスクスとメガネをテーブルに置き、ヨハンは十代に両手を上げる。 「おいで、十代」 「………オレはペットかよ」 「んじゃあ…おいで、我の愛しい妻。貴方は我の人生であり月であり、我の命を輝いてくれるたいよ、」 「いや、もういい。寧ろ恥ずかしくて聞けん」
静かにヨハンに近づいて首を回す。 彼の上に座ると嬉しそうにヨハンは十代を肩に寄せて頬をキスする。紅茶髪から太陽の香りがした。 「…そういえばさ」 テーブルのメガネを取ると十代はそれで遊び始める。 「ヨハンって目が悪かったっけ?」 「ん?あぁ、これは集中するためだ。俺の目は悪くはないけど、流石に一日中も本を読むと集中力が切れるから、メガネはそのためだ」 「へぇー…ってこれ、度が入っている」 「オイオイ。人のメガネで遊ぶな」
十代の耳からメガネを外すヨハン。 すると何か面白そうな物が見えたのかヨハンは目を瞬いた。 「…意外と似合うな、十代」 「ん?」 「十代とメガネ」 「…何考えているんだろ」 「あ、バレた?」 「オレにメガネを付けさせたいんだろ?バレバレだぜ」 「それは残念。流石十代だ。」 「で、」 ヨハンの手からメガネを奪い、十代はニヤリと彼を見つめた。 「オレの前でその集中力っている?」 「…ははぁー…」 言葉の意味を理解し、ヨハンは目を細めて十代にメガネをかけ、 「それは嬉しい。十代はメガネに妬くんだ」 押し倒す同時に口付けた。
「十代だけに教えよう」 唇から離れ、牙を立ててメガネを噛み、ゆっくりとそれを十代から外すヨハンの姿はまるで狩りをする獣のようだ。 「俺はいらないぜ?十代の前には俺は集中力をアップするアイテムなんていらない。」
――――俺は自分自身からお前を見つめ 喰い尽くす
ニコッと十代は笑った。 「お前が?少し間違っってるだろ?」
―――お前の喰っちまうのは、オレだぜ?
「君にだけ教えること」
お互い誘うと襲う二人。
END
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